改憲議論の整理

憲法概論
08 /22 2019
 3カ月の入院中治療中に書き溜めた原稿のほぼすべてをこちらのブログに書き写したので、これからは本ブログの本来の目的である改憲議論へと話を進めたく思う。

 過日の参議院選挙によって与党自民党が10議席程度減らし、連立を組む公明党が憲法改正について距離を取ったため少しトーンダウンした感はあるものの、今もってなお日本国憲法が制憲(改憲)時から最大の岐路に立たされていることには依然違いが無い。従って、現在展開されている改憲議論を整理した上で、各論に対する私的見解を順次述べることとしよう。
 まず、今現在主張されている憲法改正を巡る議論の主要な立場を概観すると、以下のようなものが確認される。

1 日本国憲法時代遅れ説、または新時代適応憲法制定説

 日本国憲法は制憲(改憲)から70余年の月日を得ており、時代にそぐわない側面がみられるようになった。また、昭和、平成を経て令和という新しい時代を迎えたので、新時代にふさわしい自主憲法を制定すべきであるとする説。

2 新し人権加憲説

 制憲(改憲)後70余年の間に、新しい人権が法規創造的な司法作用によって誕生し、広く受け入れられるようになった。具体的には主要なものとしてプライバシー権と知る権利、次いで環境権である。これら新しい人権を権利章典としての憲法の人権カタログに明示的文言として追記しようという説。

3 緊急事態条項加憲説

 テロとの戦いが一段落した今、大国のいくつかが覇権に向かう野心を隠さなくなり、日本を取り巻く国際情勢は大きな転換点を迎え、新しい安全保障上の課題が複数浮上してきた。また、災害大国日本においては、東日本大震災のような未曽有の大災害の発生(目下の課題としては、間もなく発生するであろうと目されている南海トラフ大地震)に備える必要があり、こうした非常の緊急事態においては国家権力が国民生活に強権的に介入することを可能にする緊急事態条項を憲法に盛り込むべきであるとする説。

4 自主憲法制定説

 周知のとおり、現在の日本国憲法は敗戦後GHQの主導により制定された、いわば外国の介入による押し付け憲法であるから、日本が国際社会への復帰を果たした今、日本人の手による自主憲法を制定するのが妥当であるとする説。

5 他国は改憲を重ねている説

 米、仏、独をはじめ多くの国々で憲法または基本法の改正は比較的頻繁に行われているにもかかわらず、70余年にわたって一言一句たりとも改正されていないのは不自然ではないかとする説。

6 憲法神聖不可侵説(憲法教)

 日本国憲法は世界に類を見ない最新かつ(かつてのドイツ・ワイマール憲法を別にして)最も民主的な憲法であるから、日本国憲法は神聖不可侵であり、改憲議論を試みることさえ望ましくないとする説。

 以上、近時主張される、議論に値する改憲議論としては、大凡上記6つが当て嵌まろう。これら6つの改憲・護憲説について、憲法学の基礎・基本を踏まえながら私見を提示していきたく思う。今後は、各説に分けて記事を執筆していく。
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コメント

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椎央権太

日本国憲法の意味と真価を記録しておきたいと思い執筆しています。護憲的な記述が多く見えますが、不動の護憲派というわけではありません。憲法とは如何なるもので、改めるべき時宜はいつなのかということを書き残せればと思っています。