生物界における人間の特殊性について

その他
05 /24 2019
 生物一般にとっての至上命題は、個体の生存の維持及び当該種の保存である。しかし、この至上命題は、人間存在にも例外なく必然的に当て嵌まるのであろうか?いわんや、人間は、美・徳・正義といった、他の生物が感受しないと考えられる価値を知覚・認識し、時にその価値を自己の個体的生命に優先させ、「自殺」という行為に至ることすらある。果たして、我々人間存在にとっての至上命題も、他の動物と全く同様なのであろうか?
 確かに、人間以外にも自殺を行う生命体は存在するが、その目的はあくまでも種全体の保存のためであって、生命や種の保存を超越した価値の為に自らを犠牲にするということはない。その意味に於いて、我々人間存在は他の生物とは画然と区別される。故に、他の生命が服従を免れ得ない自然法則のみならず、人間存在固有の共存の為の構造を有しなければならないのであり、事実、極めて高等な言語や同情心といった人間固有の能力を保持している。そして、これら人間固有の能力を駆使して取り結ばれる関係が社会なのであり、それはその大小を問わず、何らかの規範によってその存在を維持しているのである。

 実力の衝突を介した問題の決着は明確かつ分かりやすい。究極的に一方の生と、他方の死によって判然と事態を区分できるからだ。しかしそれは多様な価値観を感受する能力を欠く動物の仕業であって、人間の為すべきことではない。人間は美・徳・正義といった個体的生命をも超越した価値観を感受する天賦の能力を与えられており、且つ規範を生成するに足るだけの知性を有している。従って、競争それ自体を否定することはないにしても、他の動物と全く同じように、競争の結果のみによって運命づけられるべきでもない。

 人は特異な存在であり、そのことを自覚した上で競争に身を投じる必要性がある。
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椎央権太

日本国憲法の意味と真価を記録しておきたいと思い執筆しています。護憲的な記述が多く見えますが、不動の護憲派というわけではありません。憲法とは如何なるもので、改めるべき時宜はいつなのかということを書き残せればと思っています。