改憲議論 憲法と国民の義務

憲法概論
10 /27 2019
 近現代意味の憲法(または立憲的意味の憲法)は国家の基本構造を示すと同時に権利章典であることは以前述べた。従って、憲法に記載すべき内容は本質的に国民の権利である。では、憲法に国民の義務を記載することは妥当であるのか、また妥当であるとする場合、どのような義務の記載が許容されるのか、それについて検討したい。この検討は、特に緊急事態条項を憲法に盛り込もうとする際、権力による国民の権利制限の射程をどの程度に設定すべきかを画定することに資するであろう。

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改憲議論3 緊急事態条項加憲説

憲法概論
10 /01 2019
 数ある改憲議論の中で、一見最も説得力があるように見えるのが、この緊急事態条項加憲説である。緊急事態においては国家により大きな権限を付与し、公益を私益に優先して早急な復旧復興を図るという発想は、古来より社会集団における協調性と協働に価値を見いだす傾向性のある我等日本民族にとっては、説得的に感じられる。

 しかし、緊急事態条項加憲説は、人権保障という観点からは極めて高度な危険性を孕む主張であり、その条項を憲法に導入するには最大限の慎重さと注意を要するというべきである。しかしそれを考えるには、まず憲法の社会契約的性質について理解しなければならない。

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改憲議論2 新しい人権加憲説

憲法概論
09 /02 2019
 日本国憲法制憲(改憲)後、70余年の月日が経ち、その間に制憲当初には人権カタログに列挙されていなかった新しい人権が司法の法規創造的作用によって保障されるべき新しい人権として認識されるに至った。具体的には、プライバシー権と知る権利、そしてそれに準じるものとして環境権がその好例である。前2者は憲法上保障される新しい人権であるとしてまず異論なく、環境権についてもそれを新しい人権として認める向きが大勢を占めている。

 改憲を主張する者の中には、これら日本国憲法制憲後(明治憲法からの改憲後)に誕生し、広く認識されるに至った新しい人権を、明示的に日本国憲法の人権カタログに追加しようという主張がある。なるほど、解らない話ではない。近現代的憲法は権利章典の性質も有しているのであるから、保障されるべき人権カタログはより充実しているに越したことはない。

 では、この「新しい人権加憲説」は受容されてしかるべきものなのであろうか?

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改憲議論1 日本国憲法時代遅れ説、または新時代適応憲法制定説に関する考察

憲法概論
08 /28 2019
 憲法改正議論ということになると真っ先に主張されるのが、「制憲後70余年を経た日本国憲法はその後の時代の変化に対して必ずしも適合しなくなってきたから改憲をすべきだ」とか、「令和という新時代を迎え、新時代にふさわしい新憲法を日本人自身の手によって制定すべきだ」という主張である。

 なるほど、確かに一般的には説得の力のある主張に一見思える。70余年という時間経過は実に3/4世紀に及ぶ期間であるし、特に最近20年は情報技術と交通手段の分野における劇的な技術革新によって、時空の長短・遠近という要素に人・物・金の移動の制限は大きく低下し、日本国憲法制定時とは国際社会を含めた周辺環境全体が大きな変化を生じたことは間違いない。また、世界中を席巻したグローバリズムの趨勢によって、その傾向は一層加速していった。そのような状況において、70余年前に制定された憲法が次代の変化に対応しきれていないと素朴に直観することは無理からぬところである。

 しかし、こうした時代の変化の中で、日本国憲法は本当に経年劣化を生じたのであろうか?また、昭和、平成を経て令和という新しい時代に我が国が歩みを進めたという事実は、改憲を後押しする原動力たり得るのか?これらについて考察を試みたく思うが、これを為すのは容易ではない。というのも、当該課題を検討するには、憲法史を含む憲法学の観点から憲法を眺める必要があり、更には、立憲主義が何たるかを知る必要があるからである。

 さて、「憲法とは何か?」或いは「立憲主義とは何か?」と問われた時、その問いに答えることはできるであろうか?

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改憲議論の整理

憲法概論
08 /22 2019
 3カ月の入院中治療中に書き溜めた原稿のほぼすべてをこちらのブログに書き写したので、これからは本ブログの本来の目的である改憲議論へと話を進めたく思う。

 過日の参議院選挙によって与党自民党が10議席程度減らし、連立を組む公明党が憲法改正について距離を取ったため少しトーンダウンした感はあるものの、今もってなお日本国憲法が制憲(改憲)時から最大の岐路に立たされていることには依然違いが無い。従って、現在展開されている改憲議論を整理した上で、各論に対する私的見解を順次述べることとしよう。

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椎央権太

日本国憲法の意味と真価を記録しておきたいと思い執筆しています。護憲的な記述が多く見えますが、不動の護憲派というわけではありません。憲法とは如何なるもので、改めるべき時宜はいつなのかということを書き残せればと思っています。