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自由と民主性に関する考察

 個人に属する自由は内心に留まる限り絶対不可侵かつ完全に秘密であり、自己および自己の所属する国家の在り方を最終的に決定する権威ないし力を備えたものである。
 他人と(ゲゼルシャフトな関係であれ、ゲマインシャフトな関係であれ)社会的関係を取り結び、内心に関する他人からの干渉をどこまで許容するかについても自由意思による決定に委ねられる。しかし、個々人が社会的関係を取り結ぶ際に、双方が剥き身の自由を主張すれば、相互の自由は衝突し、最悪の場合傷害や殺人へと帰結することさえあり得る。従って、個々人が平穏かつ安寧に社会的関係を取り結ぶためには、内心の自由の一部を自らの意思でもってより善き方向へと統御する必要がある。ここでは、それをカントの格率に倣って自由率と名付けることにしよう。そして、その自由率に依拠して相互の自由を自律的に善き方向へと統御することによって、個々人は良好な関係を維持することが可能になるのである。

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普通選挙制は真に民主性に貢献するか―緩やかな制限選挙の可能性―

 普通選挙制は民主主義の成熟と充実に真に資するであろうか?あるいは、普通選挙法によって多様な世論が議会(国会)に反映され、あらゆる階級の利益は等しく吸収・反映されていか?ともし問われたならば、私は直ちに「それは真である」と応答することに躊躇いを覚える。民主主義はいうまでもなく、多種多様かつ多元的な民意を議席配分という形態に再構成し、そうして構成された議会での討論を経て少数意見に配慮しつつも、主権者たる国民(有権者)の多数意見に対して一般意思という輪郭を与える制度である。

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自由意思の閉鎖性と経済活動との関連性

 我々人存在は、それが内心にとどまる限り如何なることを考えていようと完全に自由であり、自らの意思で表出しない限り―暗黙の予測として悟られることはあるにしても―その内心を他者に知られることはない。つまり、人間存在は、互いに相手の思考や印象を明瞭には確知できないままに相互的に意思疎通を行わなければならないということである。さらに、一層事を難しくするのは、言葉や表情による意思疎通の仕方は、必ずしもその言葉通り、あるいは表情通りではないことがしばしばであり、かつ、当該相違点を―予測的にではあるが―見透かされる場合があり得ることである。更に、自由市場経済を基礎とする競争社会においては、ある程度の駆け引きは必要やむを得ず、ある意味で、意思疎通が率直でないことの方が良い場合にしばしば直面する。

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労働と報酬の不均衡について

 近時、有効求人倍率の推移が堅調であり、我が国の経済は着実に回復しつつあると政府は高らかに胸を張る。確かに、一時期と比較すれば、求人広告の数は増え、また一枚の求人広告に掲載される求人情報の量も多くなっている。それは、疑いようのない事実であるが、その求人広告の内容を見るや、愕然とせざるを得ない。
 なぜなら、その多くがワーキングプア水準かそれ以下の賃金水準でしかなく、とても家庭を持ち、ゆとりをもって子育てをしているだけの金額には遠く及ばないからである。看護師等の高度な訓練や資格を要する、所謂テクノクラートに分類される職種でさえ、同様なのだ。全国民の平均年収が400万程度というのは、いったいどこの国の話なのであろうか?

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自由の享受と共存

 自由の享受と共存の難しさ、即ち個人間の自由の衝突の問題は極めて解決困難な問題ではあるが、我が国では「公共の福祉」がその一応の答えとなる。だが、果たして何をもってどこまでを公共の福祉の射程と見做すのかというと、判然としない。
 人は個人を中心に、同心円状に拡大する社会に属する。その同心円は、中心から外周に向かって、個人、家庭、地域社会、地方公共団体、主権国家、国際平面と段階的に展開していく。
 その円の半径の大きさに比例して、交際する人々の数は自ずと大きくなり、その分自由が衝突する蓋然性は高くなる。加えて、中心から外周に向かうにつれて、個々人間の関係性の密度は疎になるとともに、多様な価値観を持つ人々と邂逅する機会が増えるが、関係性が希薄になるということは相手の行為に対する許容度が低下することを意味する。例えば、自分の子ども(距離が近い者)の行為であれば許せることが、他人の子ども(距離が遠い者)の行為は許せないということがあり得るであろう。即ち、人間がより多くの人々と自由の互譲を実現するためには、「意識的に」人間であるという同胞観を共有する必要があるのである。

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プロフィール

椎央権太

Author:椎央権太
日本国憲法の意味と真価を記録しておきたいと思い執筆しています。護憲的な記述が多く見えますが、不動の護憲派というわけではありません。憲法とは如何なるもので、改めるべき時宜はいつなのかということを書き残せればと思っています。

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